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VBAC(ヴィーバック):帝王切開後経膣分娩について

最初のお子さんを帝王切開で出産されたのち
二人目のお子さんを経膣分娩で出産することを
VBAC(ヴィーバック:お医者さんの間ではそう言っています。)
と言います。
このことについてみなさまに聞いていただきたい知識がありますので、
意見させていただきます。

まずVBACを行った結果、
お母さん赤ちゃんはどうなる可能性があるかというと
1、半分のお母さんは経膣分娩される。
2、VBACしたお母さん約200人のうち、1人が子宮破裂をおこす。
3、子宮破裂したお母さん約100人のうち、1人は亡くなる。
=VBACしたお母さん約20000人のうち、1人は亡くなる。
4、子宮破裂したお母さん約100人のうち、7人の産まれた赤ちゃんが
亡くなるかハンディキャップを背負う。
=VBACしたお母さん約20000人のうち、7人の赤ちゃんが命の危険に
さらされる。

これらのデーターはほとんど緊急帝王切開ができる3次医療病院
(日本で言えば大学病院クラスで
365日24時間常に麻酔科医、多数の産婦人科医、新生児科医がいる病院)
のものであり、
またVBACをするのに危険である産婦さんが除かれているデーターです。

みなさまがVBACトライされる病院が
緊急帝王切開が短時間で可能で、
麻酔科医、多数の産婦人科医、新生児科医が24時間、
365日常にいること
がかなりの重要項目かと思います。

なおここでいう”麻酔科医”は
ただ帝王切開の麻酔ができるレベルでは決してなく、
子宮破裂して患者様の状態が非常に危険である時に
麻酔を行いますので、
麻酔科専門医であることはもちろん
出血も非常に多いことも予想されるため輸血の準備は必要ですし、
手術終了後もICU(集中治療)の必要性があります。

またここでいう”新生児科医”は
子宮破裂した時の赤ちゃんの予後が悪くなる可能性が高いため
新生児の専門医が立ち会うことのみならず、
蘇生成功後の赤ちゃんはNICUでの管理が必要です。

なおVBAC時の子宮破裂してからベビーを出産させるまでが
17分以内という非常に短い時間でないと
児の予後が悪くなる可能性があります。
またVBACの厄介な問題は
子宮破裂と気づくサインが難しく
そのサインが”おなかが痛い”ではなく
”赤ちゃんが苦しいかも知れない”であり
陣痛がつき始めたら胎児心拍数モニタリングはつけっぱなしでない
といけません。


私もそのような十分な施設でVBACをトライすることを否定は
いたしません。
なぜならVBACして
200分の1で子宮破裂をしても、
20000分の1で自らの命を失うことになる可能性があっても
経膣分娩をトライすることが良いと考えたお母さんがいても
これを否定することができないと思われるからです。

またVBACをしないことが批判されるようなこともあってはなりません。

私はみなさまがこの十分な情報を熟知しえた上で
VBACをトライされているかが大変心配です。
(上記のような十分な体制が整ってないところ:特に開業産院:
ではその危険性はそれ以上であることと
みなさまが本当に同意してVBACされるかと疑問に感じているからです。
たとえば私のような小さな医院では良かれと思っても
とてもVBACはできない状況なのです。)
ぜひみなさまに一度お考えいただきたいかと思います。
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